NWCP ロゴ   広瀬川水生生物研究会   ナマズマーク

 home information contents index recruiting Topics

Event Q&A About

ドジョウ図鑑

種別詳細 ホトケドジョウ編


 ホトケドジョウ


横から見ても上から見ても同じような身体
砂利は採集地の物ではないが、保護色の効果はあるように見える


かなり「とぼけた」顔の愛嬌者。

学名 Lefua echigonia
越後名物というわけではないと思うのだが、echigonia は多分産地を表していると思う。
というか、模式標本の採集地がそうだったのかも。
本州では一部を除いてどこでも捕れるようなのだが?。

図鑑ページでLefua costata echigoniaという名前がどうこうと書いた。
つい最近までその名前であったようだ。
普段参考にしている「山渓カラー名鑑、日本の淡水魚」(山と渓谷社発行)の改訂前はその名前。
改訂版に前後していた頃の出版物を探したが特に説明の記事はなかった。
実際の所下々の趣味人にはその手の情報が入ってこない。
仲間内では通称の「ホトケ」で間に合うから別段困りはしないのだが、はっきりして欲しいものである。


少々謎なのは、Lefua costata costata と記載された図鑑もあった事。
これは平成元年発行の本だったけど、いったいどうなっておるのか?
ここまでどーのこーのと変わるほどメジャーな魚では無いと思うのだが。
一応、ここではほとんどの図鑑に記載されている学名に沿うこととする。
最新の情報であろうがなかろうが、困らないので「どうでもよい」のである。
投げやりだなあ〜。

近縁種に「エゾホトケドジョウ」、「ナガレホトケドジョウ」がいる。
ちなみに、北海道に産する「エゾホトケドジョウ」はLefua nikkonis だが、実は栃木県日光では見つからない。
なにやら、外国人研究者が持ち帰る前からだか後からだか分からないが「勘違い」していたとも言う。
学名そのものも結構アヤシイのである。

この「ホトケドジョウ」、ドジョウの仲間としては珍しく鱗がはっきり分かるほど大きい。
髭は8本、ただし、その内1対は鼻の穴の縁からカバーのように伸びたものである。
その2本が、機能しているかどうかはよく解らない。
側線は発達していない。
浮き袋が発達していて、身体に対する割合はドジョウの仲間では特に大きい。
浮遊生活に向いた構造のようであるが、決して泳ぎがうまいわけではなく、しかも遅い。
腹部は半透明に近く、内臓がうっすらと透けて見える。
体長は大きくても6cm程度だが、胴回りは太い。
特徴的にずんぐりとした体型であるため、多種と判別する時に迷うことはない。


 生息環境

山間地や、湧き水の影響を受ける地域に多く見つかる。その位の水温がお好みのようである。
山裾の三面コンクリートの用水路にもいる(特に水路をつなぐ「ます」など)。
用水路の水草が茂っているところだとヤマメやアブラハヤを一緒に掬ってしまう場合も多い。
完全な止水や流れの速いところは好まず、緩い流れがあるところに見つけやすい。

水温が低い湿田にも良く入り込む
普段は水草などの陰に隠れているが、止水に近いところでは中層に漂っている事もある。
特に夜間は時折流れに逆らう動きを見せる程度で、無防備にしている所を見かける。
石の下から採れる時は大抵水深がごく浅い場合である。
一網でまとまって捕れることはほとんど無い。せいぜい2〜3匹ずつしか入らない。
ドジョウは無論のこと、フクドジョウなら一つに石の下に10匹以上隠れていることもある。
ホトケドジョウは群れを好まないのかもしれない。

しかし、絶滅危惧種に扱われる事が不思議なほど多数生息する。
もちろん場所によるのだが、むしろ生息地域となる環境の絶滅の方が早そうであることは確かである。


 食性など


とぼけた顔に似合わず、意外に肉食性が強く、巻き貝などを襲う事もある
水槽に巻き貝が殖えることがあるが、ホトケドジョウがいると貝の姿はほとんど見なくなる。
実は、大きなタニシが相手だと殻の中に潜り込んで肉を食うこともある。
こいつら、歯を持っているんじゃないか?と思えることもある。
最初はタニシの髭(?)などの突起物からかじりはじめ、(当然タニシは殻に閉じこもるが)長い時間をかけてジワジワと食い尽くしていく。
食いついた時に「ひねり」を入れるのがコツのようである。って、聞いた訳じゃないが。
陸地から不運にも落ちてきたミミズに食いついているのを見たこともある。
この時ばかりは5匹以上がむしゃぶりついていた。
ミミズは内容物の泥をまき散らしながら粘液を出し水底に落ちる頃には、徐々に欠片となっていった。
かなりどん欲な一面を見た思いがした。
じ〜っと見ていたワタクシも悪趣味だろうか?
それは置くとして、そういった巻き貝をよく食べるために水鳥(サギ類)への寄生虫の中間宿主にもなるらしい。

この「ホトケドジョウ」、愛嬌のある姿なのだが、見かけにはよらないようである。

水槽で飼育していると、慣れたのか食い意地が張ってなのか水槽にいれた手や指に吸い付いてくる事がある。
ふと、アマゾン川の「カンディル」というナマズのことを思い出してしまう事がある。
何となく似ていなくもない。。。。似てないか。

どうにも、襲って食べるところは名前のようには『ホトケ』らしくないホトケドジョウなのである。
でも、どうして「ホトケドジョウ」なのだろう?
仏像的スタイルからなのか?どちらかといえば「お地蔵様」的、であるが。
まあ、「ジゾウドジョウ」では呼びにくいかも。

「ダルマドジョウ」と呼ぶところもあるようだ。
それはそれでいいかも知れない。でも、達磨さんをイメージするほど丸くはないよなあ。
現在の子供が名付けるとすればさしずめ「ドラえもんドジョウ」か?
アンケートを取ってみたい物である。

そんなことを書いた後調べてみたら、2説ほど見つかった。
あまりに不味いので、仏様でもないと食べてもらえないから。
というのと、お地蔵様が水に入ってドジョウになったという説。
前者は思いっきり眉唾物である。なぜなら、とてもおいしい魚とする所もあるらしいからである。
まあ、何となく納得できるのは後者かもしれない。
それでも「ジゾウドジョウ」にはならなかったようである。


無駄知識

注 カンディルについて

セトプシス(ケトプシス)科 Cetopsidae

英名:Whalelike catfishes    種数:約12種、学名は6属19
トリコミュクテルス科とともにカンディルと呼ばれるグループ。
体型は円筒形で細長く、ヒゲは3対あるが短い。棘のある小さな背鰭があり、
脂ビレを欠き、尻鰭は長い。内、数種は強い肉食性で大型魚を集団で襲うこともある。
特にどう猛な種は、眼が皮膚に埋没しているほか潜り込む行動に適した体型をしている。
全長は約20cm以上、太さは3〜5cm程度。可愛さを取り去ったギバチを想像すると近いものがある...かな?
人間も襲われることがあり、体に穴を開けられることがあり、現地では人喰いナマズとして恐れられている。

という恐ろしげなヤツである。実は本当に怖い。
アマゾンといえばピラニヤ(発音はピラーニャに近い)が恐ろしい魚の代名詞として思い浮かべるだろうが、まだあまい。
人間にもっとも被害をもたらすのは実はコイツら。種類によっては穴という穴すべてに潜り込み肉を食らう。
その血のにおいに反応してピラニヤが集まることの方が多いらしい。
以前見たテレビ番組で取り上げられた光景はなかなかのゲロものであった。
漁師が引き上げた2メートルクラスのナマズの腹部が穴だらけになり、コイツらが何匹もボトボトと川面にこぼれ落ちる様はグロかった。
カンディルの現地発音はほぼ「カンジル」である。関係はないが、女性に被害が多い。
水着や下着の普及と共にそのテの被害は減っている。素焼きの当てもの「タンガ」等もある。
肝心なところに入り込むと胸びれをぴんと張りだして引き抜けないとか。まあ、スケベ。
詳しくはアマゾン紀行ものの本を御覧いただきたい。


 飼育のヒント

水温の低いところに生活する割には意外と水槽での飼育にも耐える。
常温、というか、冷房設備がないところでも何とか耐えられるようである。
 この福島の夏でも。
さすがに、呼吸は早くなって苦しそうになるが、エアーレイションを強くすることでしのぐことは出来る。
水槽繁殖も何例か見聞きしたことがあるので結構ペット向きなドジョウのようである。
追い掛け合う様子がしばしば観察されるが、けんかには見えない。
しかし、野生の状態でバラバラに暮らしていることを考えると、なわばり意識があるのかもしれない。
水槽飼育の場合は広さにもよるが水草などを多くして、ごく少数にして飼う方がいいだろう。


 名前

福島での地方名に「アブラドジョウ」という呼び名がある。(地域は限られるようだが)

ホトケドジョウの透明感ある腹部を見て「アブラ(油)」といったのかもしれないし、食べて油っぽいのかもしれない。
食ってみようかな?
また、「アブラコ」と呼ぶところもある。
ガキ大将制度があった世代に、見習い的地位というか遊びに混ぜてもらえるようになった小さな子供もそう呼ばれる地域もある。
特典は、かくれんぼや缶蹴り、鬼ごっこで鬼にならないこと。
ただし「アブラコ」本人はそれがいやで早く一丁前になろうと背伸びしたがったものである。

語源はその辺かもしれない。 多分違うけど。

ちなみにワタクシの地元では「じゃらご」でした。
暴飲殺害者 訂正 某印刷会社の社長が研修途中の社員を『「アブラコ」にすっぺ!』と言っていたのはどうなったのだろう?
謎。

そんなことを書いていたら、「ジョージ久保(仮名)」会長から情報が一つ。
「アブラハヤ」も「アブラコ」と呼ぶところがあり、その辺では「ホトケドジョウ」も「アブラコ」と呼ぶ。
どうやら混称のようである。捕れるところも同じであるため、よくありがちなことだ。
しかし、「アブラハヤ」がいない地域でも「アブラコ」と呼ぶところもある。
これもまた 謎。


NWCPドジョウ図鑑トップへ